松竹ブロードウェイシネマ来春の自信作! トニー賞受賞、オードラ・マクドナルド主演「ビリー・ホリデイ物語」

2022年11月

松竹ブロードウェイシネマ来春3月より全国順次限定公開! トニー賞受賞、オードラ・マクドナルド主演「ビリー・ホリデイ物語」

ビリー・ホリデイ物語今回ご紹介するのは、映画や歌舞伎、演劇など総合エンターテイメントの松竹が自信を持って来春3月から公開する映画「ビリー・ホリデイ物語」です! 映画といってもブロードウェイの舞台をそのまま生収録した迫真の演技。主演のトニー賞六冠、オードラ・マクドナルドのビリー・ホリデイへの憑依にはただただ圧倒されます。試写会を終えてのリポートです!

Osukaビリー・ホリデイの映画というと、なんといってもダイアナ・ロスがビリーになったものや、最近ではアメリカ対ビリーというアンドラ・デイ主演によるものもありました。それだけ、歌だけではなく、ビリー・ホリデイにはストーリーや人を惹きつける魅力があるということです。今回は、いわゆる映画ではなくブロードウェイのショーをそのまま楽しめるということ。さっそく試写会へ行ってきました。

ホワット・ア・リトル・ムーンライト・キャン・ドゥ(月光のいたずら)若かりし頃のビリーの十八番。スインギーなノリと、粘るような独特の唱法がマッチした軽快な歌です。主演のオードラ・マクドナルドの声にまずびっくり。若い頃のビリーにそっくりです。張りといい裏返るような高い音を挟むビリーの癖まで本人以上に再現しています。ムーンライト・キャン・ドゥのドゥがデューと聞こえるあたりもバッチリ。この舞台は、ビリーの亡くなる四ヶ月前にフィラデルフィアのクラブで行われたライブという想定のもとに、オードラはビリーとしてのステージをやり抜きます。そこが成功の要因。ビリーの歌やスピーチが臨場感いっぱいのままに進行します。

ビリー・ホリデイ物語

O最初は演劇特有の役者の大きな声の張りに面食らいましたが、徐々に慣れてきて、オードラの歌やおしゃべりにどんどん引き込まれます。

クレイジー・ヒー・コールズ・ミースタンダード曲ですが、ビリーの持ち歌として有名なもの。しっとりと聴かされます。とにかくオードラの歌のうまさに圧倒されます。ニューヨークの有名なジュリアード音楽院で声楽を学んだという経歴ですが、やはり本来歌が上手い人が努力をするとさらに人を感動させるものができるという見本のようなもの。

ゴッド・ブレス・ザ・チャイルドオードラによってビリーが歌うようになったエピソードが語られます。なにかできるのか? と聞かれ、ビリーは必死にボックスを踏みましたが全然だめ。しかたなく歌ったら、ビリー・ホリデイになったというものです。エラ・フィッツジェラルドも同じようなエピソードを持っています。ビリーが生涯戦い続けた差別や悲恋は、歌というギフトを得た者ゆえに、持たざるものに対する対比で悲哀が際立つような気がします。

Oビリーの辛い境遇や立場だけが語られるのではなく、その中にもユーモアが救いになったトークが多々ありました。中でもドリス・デイと間違えられるというエピソードは最高に笑いました。

イージー・リヴィング白人だって、いい人はいるわよ。……一人。ですとか、きれるジョークで会場を虜にしていきます。ここまでくるとオードラなのかビリーなのか、そういうことよりも本腰の入ったエンターテイメントの圧巻の底力を見たような心地よい気分になります。

ビリー・ホリデイ物語

Oゴッド・ブレス・ザ・チャイルドとストレンジ・フルーツはやはりビリーの代表曲です。オードラも迫真の一人語りのあとに一際心を込めて歌うのがわかります。映画の中での白眉です。

ストレンジ・フルーツ南部では血を流した不思議なフルーツがなっている。なんともやりきれない歌詞から始まるストレンジ・フルーツです。アンドラ・デイの主演の映画はこのストレンジ・フルーツを政府が歌うのをやめさせようとした事実から作られたそうです。確かに、ビリーの生きた時代は、この歌を歌うのは非常に勇気のいる行為だったと思います。歌うオードラの顔が大写しになり、汗が流れる。迫真という言葉がふさわしいシーンになりました。

O見終わって、すごいものを見たなというのが率直な感想です。ブロードウェイに行かずして、これを見ることができるのは非常に得した気分です。特に、ボーカルを志す人は必見です。オードラ・マクドナルドにスタンディングオベーションで!

『ビリー・ホリデイ物語 Lady Day at Emerson's Bar & Grill』

ビリー・ホリデイ物語▪ 公開日:2023年3月10日(金)より全国順次限定公開!
公開情報(「劇場公開作品」内)

ブロードウェイの息吹を直接感じさせてくれる松竹ブロードウェイシネマの次回作に更に期待したい!

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