ついに発掘!完全未発表ライブ セロニアス・モンク・カルテット渾身の叫び!「パロ・アルト~ザ・ロスト・コンサート~」
※発売延期となっておりました、こちらのアルバムは2020年10月7日発売決定となりました。
モンクの未発表音源世界同時発売という、ゾクゾクする話題が飛び込んできました!時は1968年。その年の4月にはキング牧師暗殺という黒歴史に直面していたアメリカの、カルフォルニア州パロアルト高校に通う、一人の白人の少年の思いに応えたモンクカルテットが乗りに乗った演奏を繰り広げるという、世界的大発見にワクワクするのは僕だけではないはず!2020年10月7日の発売前ですが、早速聴いてみました!
「パロ・アルト~ザ・ロスト・コンサート~」
<パーソネル>
セロニアス・モンク(p)
チャーリー・ラウズ(ts)
ラリー・ゲイルズ(b)
ベン・ライリー(ds)
1968年10月27日、
カリフォルニア州パロ・アルト高校にてライヴ録音
1. ルビー・マイ・ディアカルテット演奏
Osuka一風変わった曲調の多いモンク作品の中でも、特にメロディの美しさが際立つナンバー。サンフランシスコのジャズ・ワークショップに出演中で、この日も夜には戻らなければいけないという弾丸ツアーにもかかわらず、メンバーは元気いっぱい。きっと高校生の熱い思いに応えたかったのでしょう。
2,ウェル・ユー・ニードントカルテット演奏
Oモンクのアドリブソロが快調。1968年はモンクのキャリアにおいては最晩年に当たりますが(この後は71年にラストコンサートを発表し亡くなる82年まで長く引退してしまう)、新人のような溌剌さが面白い。ラリーのアルコ(弓弾き)ソロでのベンとの掛け合いがスリリング。
3,ドント・ブレイム・ミーソロピアノ演奏
O私のせいにしないで、というこの時期なんとも意味深な題名。パロ・アルト高校は白人の生徒が主で、生徒がモンクを呼ぶということがわかったときに、騒動を恐れた周囲の大人に注意を受けたそうです。ある意味ピュアな心根の高校生だからこそ実現できた奇跡とも言える邂逅といえます。モンクのエンディングに入ったときのトレモロ(単一の高さの音を連続して小刻みに演奏する技法)が効果を上げています。
4,ブルー・モンクカルテット演奏
OB♭のブルース。トップバッターのラウズがソロ前半部のブルーノート(簡単にC調でいうと、ミとソとシの音が半音下がる。特にここではフラットフィフスと言われるソのフラットが効いている)で雰囲気を掴んでいきます。ベースのラリーのソロではモンクがバッキングをしないので自由な発想をいかせ、ソロの最後にエリントンの「昔はよかったね」が顔を出すなど快調そのもの。ドラムソロのあとの短いラウズのソロがなお熱い。
5,エピストロフィーカルテット演奏
Oテーマが独創的なのでアドリブ構築の世界観が問われる難曲。ここではベテランラウズもやや苦戦。変わって突飛なエンディング含めてモンクは自分の世界で自由に泳いでいる。
6,アイ・ラブ・ユー・スイートハート・オブ・オール・マイ・ドリームスソロピアノ演奏
O1964年の「Monk.」でもソロピアノで弾いている美しい曲。短いソロだが、拍手に迎えられて演奏をはじめているのでおそらくはアンコールと思われます。これもまた、「私には夢があります」という有名な演説のキング牧師暗殺から半年後という情勢を思うと白人に囲まれた中で高校でのコンサートを成功させたモンクの心情がストレートに現れた演奏といえるでしょう。
今から52年前のこの時、アメリカは揺れていました。現在にいたっても同じような騒動が起きていることを考えると暗澹たる気持ちになりますが、この演奏には人種や世代、立場などを越えたジャズの音楽としてのパワーを素直に感じることができます!
セロニアス・モンク
『パロ・アルト~ザ・ロスト・コンサート』
※発売延期となっておりました、こちらのアルバムは2020年10月7日発売決定となりました。
<パーソネル>
セロニアス・モンク(p)
チャーリー・ラウズ(ts)
ラリー・ゲイルズ(b)
ベン・ライリー(ds)
1968年10月27日、
カリフォルニア州パロ・アルト高校にてライヴ録音
収録曲
1. ルビー・マイ・ディア
Ruby, My Dear (6:59)
2. ウェル・ユー・ニードント
Well, You Needn’t (13:16)
3. ドント・ブレイム・ミー
Don’t Blame Me (6:36)
4. ブルー・モンク
Blue Monk (14:02)
5. エピストロフィー
Epistrophy(4:25)
6. アイ・ラヴ・ユー・スウィートハート・オブ・オール・マイ・ドリームス
I Love You Sweetheart of All My Dreams (2:02)
詳細はこちら!ユニバーサル ミュージック